税効果会計は「繰延税金資産の回収可能性の判定」が重要ですが、会社分類や基準も含め難しいですよね。そこで今回は、「繰延税金資産の回収可能性の判定」「会社分類の基準」をわかりやすく簡単に解説しました。
繰延税金資産の回収可能性の判定
【税効果会計をわかりやすく簡単に75🤔】
✅繰延税金資産の回収可能性の判定の仕方は?
過去3年間の法人税申告書・今期所得見込み・来期所得見込みを準備
→そして会社分類1-5のいずれに該当するかを検討する✅取締役会議事録や稟議書を準備
→重要資産の売却決定を把握 pic.twitter.com/g5E4kSCA8j— 内田正剛@会計をわかりやすく簡単に (@uchida016_ac) 2019年6月17日
繰延税金資産の回収可能性の判定は、以下の順番で進めていくとすんなりと理解できます。
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(Step1) 回収可能性の意味
繰延税金資産をどの程度認めるかの論点は、「回収可能性」と言われます。
回収可能性があれば、繰延税金資産として計上していいということです。
逆に回収可能性がない場合は、繰延税金資産として決算書に載せてはいけません。
このあたりの話は、このブログ記事で解説しています。
(Step2) 使う資料や情報
将来の見込みといっても、完璧な予測なんて誰もできませんから、過去の実績や当期の状況や将来の変動の可能性が主な判断根拠になります。
具体的には、過去の課税所得や繰越欠損金がどの程度発生・消化されたのかを把握します。
そのためには以下の資料を準備して、数値を拾っていきます。
- 法人税の申告書 (過去3年分)
- 今期所得見込み (申告書ドラフト?)
- 来期の所得見込み (事業計画書?)
(Step3) 会社分類と分類基準
会社を大きく5つの区分に分けて、それぞれの分類別に、繰延税金資産をどの程度認めることができるのかを定めています。
理論上計算された繰延税金資産のうち、現状や将来見込みが悲観的な会社ほど、認められる繰延税金資産の金額が少なくなります。
分類にあたっては、前述の通り過去の業績や当期の状況、そして将来の見込みなどを総合的に勘案して判定していきます、
会社分類は、以下の記事で解説しています。
(Step4) スケジューリング
会計と税法の一次的なズレ (一時差異)が「いつ解消するのか?」「解消は確実か?」も検討します。
その根拠になるのが、取締役会議事録や稟議書です。
会社は、何か重要な意思決定を行うときはほぼ必ず書面に残しますし、承認がないと重要な資産の売却はできません。
一方で、会社の意思決定がなくても解消していく一時差異もあります。
つまり、スケジューリング可能の一時差異には2種類あるということです。
このあたりの論点は「スケジューリング」といい、具体的な考え方については、以下の記事で解説しています。
(Step5) 所得の計算
スケジューリングが終わったら、年度別の一時差異の解消金額と比較する所得を計算します。
但し、解消する一時差異より大きいのか小さいのかを比較する所得なので、普通の所得とはちょっぴり違います。
また、タックスプランニングができる儲けも対象に含まれます。
詳しくは以下のブログで解説していますので、是非ご覧下さい。
(Step6) 一時差異と所得を比較
スケジューリングが終わり、所得も計算できたら、次は両者を比較します。
所得を下回った将来減算一時差異に対応する繰延税金資産が、回収可能性ありと判定されます。
超簡単にいうと、例えば将来減算一時差異が100で見込所得が120なら全額回収可能なので、120×法定実効税率が繰延税金資産、将来減算一時差異が100で見込所得が60なら、60×法定実効税率が繰延税金資産というイメージです。
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