「資産除去債務の税効果会計の考え方や仕組みを知りたい!」資産除去債務の税効果って、難しいですよね。そこで税効果会計をわかりやすく解説するシリーズの今回は、資産除去債務の税効果会計の考え方と仕組みを図解でわかりやすく簡単に解説しました。
資産除去債務の税効果会計の考え方と仕組みをわかりやすく図解で解説
記事の信頼性
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当記事を読むメリット
資産除去債務の税効果会計の考え方と仕組みが理解できるようになります。
記事の目次
今回のブログ記事で解説する主なトピックを紹介します。
簡単にいうと
ポイントは2つです。
1つ目は、資産除去債務の会計ルールを法人税では認めないこと、そして2つ目は、一時差異が2つ発生することです。
それぞれ分けて考えると理解が進みます。
資産除去債務の会計ルールをおさらい【理解の準備】
資産除去債務は、固定資産を処分するときに発生するコストを見積って負債計上します🔍
取得原価と負債が両方増えるのですが、法人税では一切認めません🙅♀️ 実際に処分したときに損金に認めるので、税効果会計の対象になります😀
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— 内田正剛@会計をわかりやすく簡単に (@uchida016) March 4, 2021
想定される場面
固定資産を処分するときに、少なからずコストが発生することがあります。
そのコストを、実際に発生する前に負債として見積もっちゃいましょうというのが、資産除去債務の考え方です。
会計処理を簡単に
ただ、負債の相手勘定を何にするか迷いますよね。
そこで資産除去債務の会計ルールでは、固定資産の取得原価に含めて減価償却計算で徐々に費用化していきましょうという考え方を採用しています。
つまり、資産除去債務を負債に計上するとともに、固定資産の金額も増えることになります。
法人税の考え方
法人税は見積りの費用や負債を敬遠しますが、資産除去債務も例外ではありません。
資産除去債務の会計処理は一切認めないというのが、法人税の基本的な考え方です。
とはいえ、永遠に認めないわけではなく、固定資産を実際に処分するときに、発生するコストを損金として認めます。
つまり、認めるタイミングが、会計と法人税でズレているのです。
そこで、税効果会計の出番となります。
資産除去債務の税効果会計
一時差異は2つ
資産除去債務では取得原価と負債が両方増えるのですが、法人税では以下のタイミングまで認めません🙅♀️
✅減価償却(解消時に所得を増やす)✏️
✅資産を実際に除去した時点(解消時に所得を減らす)👀つまり、将来減算一時差異と将来加算一時差異が両方発生します😀
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— 内田正剛@会計をわかりやすく簡単に (@uchida016) March 4, 2021
資産除去債務の会計の大きな特徴は、(会計処理をすることで)借方と貸方の金額が両方増えるという点です。
固定資産の取得原価も増えますし、「資産除去債務」という負債も増えます。
そしていずれも法人税では認めない処理なので、一時差異が2つ発生します。
将来減算一時差異【差異その1】
資産除去債務の会計では、将来減算一時差異が発生します📝
会計が処分費用を見積って計上するので、認める時期が会計と法人税で差が出るからです👀 固定資産を処分したら損金になり差異は解消します🙆♀️
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— 内田正剛@会計をわかりやすく簡単に (@uchida016) March 6, 2021
会計ルールを簡単に
資産除去債務の会計ルールは、固定資産を実際に処分するときに発生が見込まれるコストを、負債として(あらかじめ)決算書に載せるルールです。
紛れもなく見積りの会計処理なので、法人税では実際に固定資産を処分するまで認めません。
将来減算一時差異の発生
会計が負債計上した後、時間が経って実際に固定資産を除去するときに損金が発生します。
つまり、法人税が損金を認めるタイミングが会計よりも後ろへズレるので、将来減算一時差異が発生します。
将来加算一時差異
資産除去債務では、将来加算一時差異も発生します📝
会計が債務の分だけ取得原価を大きく計上するからです📖 減価償却に伴って、増えた減価償却費の分だけ実際に所得>利益となって解消していきます👀
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— 内田正剛@会計をわかりやすく簡単に (@uchida016) March 7, 2021
会計ルールを簡単に
資産除去債務を決算書へ載せるにあたって、会計は相手勘定として固定資産の取得原価を増やすという仕組みを採用しています。
減価償却費として、徐々に費用化していきましょうという発想です。
一方で法人税では、そのような処理は一切認めません。
将来加算一時差異の発生
減価償却費は、資産除去債務を認識しない場合に比べて大きくなりますが、この処理は会計だけ行います。
一方の法人税では、減価償却費は元のまま(=資産除去債務を計上しない前提で計算)なので、(毎期の)利益→所得の調整にあたって、加算調整をします。
会計の方が法人税よりも、減価償却費が過大になっているためです。
そしてこの状況は、資産除去債務を計上した時点で確定しています。
つまり、資産除去債務を計上した時点で将来加算一時差異が発生し、減価償却計算の進展に伴い解消していくということです。
スケジューリング
資産除去債務は、スケジューリング可能です🤔
固定資産を処分する時期はバチっと確定していませんが、見積るときに処分時期を仮定します🔍 なので、事実上確定していると捉えるので「可能」と考えます😀
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— 内田正剛@会計をわかりやすく簡単に (@uchida016) March 6, 2021
固定資産を処分する意思決定をしていない場合でも、債務を見積もるにあたって処分する時期を何らかの計画に基づき仮定しています。
つまり、確定していなくても事実上確定しているという判断にたって、スケジューリング可能と考えます。
繰延税金負債と繰延税金資産
資産除去債務では繰延税金負債と繰延税金資産が両方出てきます👀
将来加算一時差異と将来減算一時差異が両方出てくるからです✏️ ただ両者がリンクしている金額はズレていくので、ずっと同じではありません🙅♀️
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— 内田正剛@会計をわかりやすく簡単に (@uchida016) March 8, 2021
資産除去債務の会計処理に伴う取得価格の増加分は将来加算一時差異が、債務の金額については将来減算一時差異が発生します。
そして、それぞれについて繰延税金負債と繰延税金資産を計上します。
なお、対応する金額が異なるので、減価償却の進展などで両者の金額はズレていきます。
今回の記事はここまでです。
当ブログ記事の内容をYouTube動画で解説しています。
なんとなくイメージは掴めてきたと思いますが、いかがでしょうか?
資産除去債務の税効果の仕訳とか考え方をもう少し詳しく知りたい方は、以下の記事で書いていますので是非ご覧ください。
最後までお読み頂きありがとうございました。