「セールアンドリースバック取引の会計処理が今後どうなるのか気になる」 リース会計基準の改正作業が進んでいて、セールアンドリースバック取引も対象に含まれているので、かなり気になっちゃいますよね。そこで今回は、セールアンドリースバックの会計基準改正案をわかりやすく簡単に解説します。なお、執筆時点ではまだ公開草案が出ていないので、IFRS16号や米国基準と現状処理の比較としてまとめています。
セールアンドリースバックの会計基準改正案をわかりやすく簡単に解説
記事の信頼性
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当記事を読むメリット
セール・アンド・リースバック取引の会計基準改正の方向性が理解できるようになります。
記事の目次
今回のブログ記事で解説する主なトピックを紹介します。
セール・アンド・リースバックの取引図
もともと持っていた資産を一旦売却し、すぐにリースする取引です。
ぱっと見、資産を持っているように見えるという実態は何も変わりませんが、自分の資産ではなくなっているという点がポイントです。
セール・アンド・リースバック取引については、いまのリース会計基準で取扱いは定められているものの、IFRS16号を見据えた改正作業が進んでいます。
経理担当者的には、セール・アンド・リースバック取引の会計処理がどのように改正されるのか気になるところです。
そこで、今回のブログ記事ではセール・アンド・リースバック取引の会計処理の改正の方向性を取り上げます。
リース会計基準の改正を先取りするには?
いまのところ、セール・アンド・リースバック取引に関するリース会計基準の改正は米国基準の方向へ進む見込みです。
セール・アンド・リースバック取引の会計処理については、米国基準とIFRS16号には違いがいくつかあります。
したがって、その違いを知っておくと、リース会計基準の改正に伴って、現状の実務からどうなるのかの予想に役立ちます。
セール・アンド・リースバック取引の判定
IFRS
そもそもリースの分類をしないので、セール・アンド・リースバック取引の判定でも、ファイナンス・リース取引の判定はしません。
米国基準
ファイナンス・リース取引の判定をしてファイナンス・リース取引になるなら、資産を譲渡しても売却取引として扱いません。
つまり、売却した資産がそのまま貸借対照表へ残り続けるということです。
今のリース基準と改正の影響
まず、ファイナンス・リース取引/オペレーティング・リース取引の判定をします。
そして、ファイナンス・リース取引に該当したら、売却損益部分を繰り延べて減価償却費にプラスマイナスの処理をします。
例えば、減価償却費が1,000だけと、売却益の繰り延べが100なら、減価償却費は900になるイメージです。
なので、リース会計基準が米国基準に沿って改正されたら、
ファイナンス・リース取引に該当したら
↓ そもそも売却処理しないので資産はそのままB/Sに残る |
となります。
買戻オプションがある場合
IFRS
実質的な買戻オプションがあるのなら売却処理しません。
実質的な買戻オプションは、簡単にいうと「行使した方が得をするよね」みたいなイメージです。
逆にいうと、行使しても損をするのなら、オプションは存在しないのと実質的には変わらないという発想です。
米国基準
2つの要件をともに満たしたら、資産の譲渡を売却処理しません。
つまり、資産は貸借対照表に残り続けるということです。
|
特に、取引対象の資産が不動産の場合は、2つ目の要件を満たさなくなってしまいます。
不動産は、一品一様であり、全く同じ不動産は世の中に存在しないからです。
今のリース基準と改正の影響
規定がないので、買戻オプションがある場合は、改正の影響を受けることになります。
オペレーティング・リース取引
IFRS
リースの分類をしないので、当トピックは出てきません。
米国基準
ファイナンス・リース取引に該当しない(=オペレーティング・リース取引)なら、資産を売却処理することが可能になります。
つまり、貸借対照表から対象の資産がなくなる(=外せる)ということです。
今のリース基準と改正の影響
ファイナンス・リース取引に該当しない(=オペレーティング・リース取引)なら、資産を売却処理することが可能になります。
このように、IFRS16号と米国基準では処理の仕方が違うので、改正がどのような方向性になるか、非常に興味深いところです。
注記事例の分析
しかかり中です。
ここまでのブログ記事を解説した動画はこちらです。
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Podcastでもお楽しみ頂けます。
【Podcastを公開しましたら紹介します】
今回のブログ記事はここまでです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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IFRSの論点の、初心者向け入門解説は、以下のブログ記事で書いています。
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