スケジューリングの具体例をわかりやすく図解で解説【税効果会計】

「スケジューリングの具体例をわかりやすい解説で教えてほしい」たしかにスケジューリングってイメージしにくいですよね。そこで税効果会計をわかりやすく解説するシリーズの今回は、スケジューリングの具体例をわかりやすく簡単に解説しました。

スケジューリングの具体例をわかりやすく図解で解説【税効果会計】

スケジューリングって何?

超簡単にいうと?

スケジューリングは、超簡単にいうと「法人税がいつ損金益金を認めるか?」を把握することです。

会計よりも法人税の方が(特に費用)、認めるタイミングが遅れる傾向があるからです。

可能と不能

法人税が損金を認めるタイミングが特定・把握できる場合に、税効果会計では「スケジューリング可能」という呼び方をします。

逆に、法人税が損金を認めるタイミングが特定・把握できない場合は、「スケジューリング不能」といいます。

スケジューリングが必要な理由

繰延税金資産をどの程度認めるかについて、会計基準では「会社分類」という考え方を採用しています。

会社分類が例えば2以下になると、(原則的には)スケジューリング不能な部分は繰延税金資産を認めてもらえなくなります。

なので、税効果会計の繰延税金資産をいくら計上するかを把握するために、スケジューリングは欠かせない作業になっています。

スケジューリングの具体例

大きく4つのパターンに分かれるので、順番に見ていきましょう!

パターン1 翌期必ず解消

未払費用は、翌期に必ず取り崩します。

未払事業税も翌期に必ず納税しますし、賞与引当金も必ず翌期支給します。

法人税は損金に認めませんが、翌期に必ず認めてくれます。

なので、スケジューリング可能な一時差異です。

パターン2 長期間にわたり解消される差異と資産除去債務

建物などの減価償却計算をする固定資産で減損処理をした場合や、退職給付引当金などが該当します。

これらは、いずれも長い時間はかかるものの、いずれ法人税が損金に認めるという特徴があります。

なので、会計と法人税の差は長期的に解消していくことが見通せます。

この差異について会計基準では、「解消見込年度が長期にわたる将来減算一時差異」という呼び方がされています。

また資産除去債務は、将来資産を除去するタイミングを見積って、発生が見込まれるコストを見積計上しています。

もちろん法人税は認めない処理ですが、実際に除去するタイミングでコストを損金に認めます。

なので、近くはない将来的に会計と法人税の差が解消するので、こちらもスケジューリング可能な差異です。

パターン3 繰越欠損金

繰越欠損金は将来の所得と相殺することで税金を減らすことができるので、事実上将来減算一時差異と同じ扱いをします。

ほかの将来減算一時差異は「いつ法人税が損金に認めるか?」という視点でスケジューリングしますが、繰越欠損金は「いつ所得といくら相殺できるか?」という視点でスケジューリングします。

また、相殺できる時期や金額を検討するときも注意点が2つあります。

1つ目が繰越期間で、2つ目が限度額です。

繰越欠損金は繰り越せる期間に制限が設けられていますし、使える金額も限度があります。

そこを踏まえた上で、「いつ所得といくら相殺できるか?」をチェックします。

パターン4 取締役会などの意思決定

例えば土地の減損損失は、土地を売らない限りは法人税では損金に認められません。

なので原則はスケジューリング不能なのですが、取締役会で売る時期を決定すれば、いつ売るかが確定します。

このように、会社が売る意思決定をした評価減は、いつ解消するかが特定できるのでスケジューリング可能になります。

スケジューリング不能

パターン4の逆バージョンで、法人税が費用を認めるタイミングは現時点では特定できないという状況です。

回収・貸し倒れがまだ確定していない個別評価の貸倒引当金や、償却をしない土地の減損損失などは、いつ法人税が損金として認めるかは決まっていません。

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