税効果会計で一番目にする「将来減算一時差異」って何でしょうか? 今回は税効果会計の基本を理解するために欠かせない。「将来減算一時差異」をわかりやすく簡単に解説しました。
将来減算一時差異とは何か?
【税効果会計をわかりやすく簡単に11🤔】
✅将来減算一時差異とは?
→税法が「一時的に」会計の費用を否認
→会計も税法の儲けの方が「一時的に」大きくなる
→税額も「一時的に」大きくなる✅いつ解消?
→税法が費用と認めた時
→会計より税法の税額の方が少なくなる
→ここで解消 pic.twitter.com/OxUH6gdDT7— 内田正剛@会計をわかりやすく簡単に (@uchida016_ac) 2019年5月18日
会計と税法は「費用」と認めるタイミングが違う
会計は、「この会社はどの程度儲かっているのか?」という「稼ぐ力」を重視します。
稼ぐ力を重視するので、「稼げなくなった資産」とかはどんどん評価を落としていきます。
「評価を落とす」をわかりやすくいうと、「資産の価値が落ちた分を評価損(費用)にする」ということです。
一方で税法は、費用の発生が「もう間違いない」という状況になって初めて費用として認めてくれます。
つまり会計は費用をどんどん前倒しで記録していくのに対して、税法はどんどん後ろ倒しになっていきます。
このように会計と税法は、「費用として認めるタイミング」にズレがあるのです。
税法が費用を否認すると税金が増える!でも一時的
税法の税金計算は、「会計の儲け(利益)」に「考え方の違い」をプラスマイナスして「税法の儲け(所得)」を計算し、所得に税率をかけて税金を計算します。
税法が会計の費用をどんどん否認するということは、会計が正しいと思っている儲け(利益)よりも、税法で計算した儲け(所得)の方が大きくなっているということです。
そうすると、税金の金額も会計が計算した「税金費用」より多額になります。
でもこれは一時的です。
なぜなら、税法は永遠に費用を認めないと言っているわけではなく、「あ、確かに価値落ちてますね」ってわかった時点で費用として認めてくれるのです。
会計の方は、はるか昔に費用として処理しているので、税法が認めた年度の決算には「費用」は記録していません。
一方で税法は「費用です」って認めてくれるので、「会計が計算した税金費用」よりも「税法が計算した税金」の方が低くなるのです。
つまり、ズレが生じた年度からズレが解消した年度までの税金と税金費用を足したら、(原則的には)イコールになります。
だから、税金が多くなるのは「一時的」といったのです。
将来減算一時差異とは?
将来減算一時差異は、解消する時のことを考えると理解できますよ😀
法人税が一旦費用を否定して将来に費用を認めるので、解消時に所得を減らします📝 名前を「将来+減算+一時差異」に分解すると、なるほどと思えます😉#税効果会計 #将来減算一時差異 #わかりやすく #ucd pic.twitter.com/aOd6mjMr3n
— 内田正剛@会計をわかりやすく簡単に (@uchida016) February 14, 2021
将来減算一時差異は、今と将来の利益・所得を図で書くとイメージできます✏️
発生するときは利益<所得になって、解消するときに利益>所得になります🤔 法人税が将来的に費用を認めるから、所得の方が小さくためです😀#税効果会計 #将来減算一時差異 #わかりやすく #ucd pic.twitter.com/f4PVCRPqPk
— 内田正剛@会計をわかりやすく簡単に (@uchida016) February 15, 2021
このようなズレは、発生した時点では儲けを増やしますが、解消するときに儲けを減らします。
つまり、「将来」儲けを「減算」してくれる「一時的なズレ(差異)」なので、「将来減算一時差異」っていいます。
将来減算一時差異は、会計の見積り系の費用が具体例です📝
たとえば、減損損失とか〇〇評価損が挙げられます🤔 法人税が、見積り系の費用を(基本的には)認めないので、将来的に解消するズレになります🔍#税効果会計 #将来減算一時差異 #わかりやすく #ucd pic.twitter.com/bROUndxZnw
— 内田正剛@会計をわかりやすく簡単に (@uchida016) February 15, 2021
たとえば、賞与引当金繰入や貸倒引当金繰入なんかは、会計の費用ですが、実際に賞与を支払うまで・貸し倒れるまでは税法では「費用」とは見ません。
なので、これらは「将来減算一時差異」です。
なお、実務で気になった時はこちらの記事を参考にすると、意外にサクッと見つけられると思います。
今回のブログ記事はここまでです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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