税法の儲けがマイナスの場合、将来の儲けと相殺できる制度を「繰越欠損金」といいます。では、繰越欠損金に関する税効果会計はどうでしょうか?今回は、繰越欠損金の繰延税金資産の回収可能性について、わかりやすく簡単に解説します。
繰越欠損金の繰延税金資産の回収可能性
繰越欠損金もほかの一時差異と同じ
繰越欠損金も、将来減算一時差異と同じように扱います👀
過去の赤字を将来の儲けと相殺して、本来払うべき税金よりも安くする効果があるからです😀 他の差異と同じく、回収可能性をチェック📝した上で、繰延税金資産を決算書へ載せます🔍#税効果会計 #将来減算一時差異 #わかりやすく #ucd pic.twitter.com/chAakaEaHE
— 内田正剛@会計をわかりやすく簡単に (@uchida016) February 16, 2021
繰越欠損金だからといって、繰延税金資産の回収可能性について特別なルールはありません。
基本的には、他の将来減算一時差異と同じ考え方に則って検討をします。
つまり、会社分類に従って繰延税金資産の回収可能性を検討します。
ただし、他の将来減算一時差異は「いつ解消するか?」というアプローチで検討するのに対して、繰越欠損金については「いつ消化するか?」という視点で検討するという点は、異なります。
繰越欠損金の注意点
【税効果会計をわかりやすく簡単に63🤔】
✅繰越欠損金の繰延税金資産の回収可能性は?
→まず会社分類を検討
→ほぼ自動的に4か5になる✅検討の仕方は他の一時差異とほぼ同じ
✅注意点
→税法の儲けの50%という限度額がある
→いつ発生した繰越欠損金か把握 pic.twitter.com/dEwLNGYGt7— 内田正剛@会計をわかりやすく簡単に (@uchida016_ac) 2019年6月13日
繰越欠損金特有の注意点は3つあります。
(1) 限度額がある
1つ目は、「1年に利用できる限度額がある」ということです。
どんなに多額の繰越欠損金があっても、「税法の儲けの50%」までしか使うことができないのです。
税効果会計的には「いつ消化するか?」が繰越欠損金の検討ポイントですが、そこに制限がかけられています。
(2) 期限切れがある
繰越欠損金は、未来永劫使えるわけではないんですね。
何度か改正されて現在は「10年」というルールになっています。
つまり、10年経ったら、使ってないのに繰越欠損金が消えてしまうんです。
これは、スケジューリングを考える上で重要ですし、分類4の規定でも「期限切れ」についてルールがあります。
つまり、期末に繰越欠損金がなくても、期限切れがあったら、該当してしまう余地があるということなんですね。
(3)期限切れにもフォーカスする
繰越欠損金の会社分類の注目ポイントは2つで、過去3年+当期に注目します👀
1つ目が「残高はあるか?」で、残高があれば発生金額は重要かを検討します📝 2つ目は「期限切れ」で、「重要か」も確かめます🔍
ブログ https://t.co/VVvGPEeo1B#繰越欠損金 #税効果会計 #図解 #わかりやすく #ucd pic.twitter.com/m58h81Ddxn
— 内田正剛@会計をわかりやすく簡単に (@uchida016) March 11, 2021
繰越欠損金の繰延税金資産の回収可能性の検討でひそかに見落とせないのは、「期限切れ」です。
当期末に残高があるのかないのかだけ見ればいいというわけではありません。
過去3期と当期に欠損金の期限切れが発生していないかを、慎重にチェックします。
なお、繰延税金資産の回収可能性については以下のブログで解説していますので、ぜひどうぞ。