「貨幣の時間的価値」は最近の会計ルールでたくさん目にすることがあると思います。でもどういう意味かを聞かれるとはっきり答えるのは簡単ではないですよね。そこで当ブログでは、貨幣の時間的価値とは何かを、意味・理由、そして割引率とともにわかりやすく簡単に解説します。
貨幣の時間的価値とは?意味や理由を割引率とともにわかりやすく解説
記事の信頼性
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当記事を読むメリット
貨幣の時間的価値と、時間的価値の使う割引率の考え方が理解できるようになります。
記事の目次
今回のブログ記事で解説する主なトピックを紹介します。
貨幣の時間的価値の意味
先に結論
同じ10,000円でも、いま持っている10,000円と1年後に手にできる10,000円は価値が違うということです。
いまの10,000円のことを現在価値、(仮に1%の運用益を期待できるなら)1年後の10,100円のことを将来価値といいます。
そして、現在価値と将来価値を両方合わせた概念(=時間に差があると価値に違いが生じる)を貨幣の時間的価値といいます。
貨幣の時間的価値の考え方の背景
このような考え方をするのは、以下のような考え方が背景にあります。
お金は使わずに持っていれば運用できる
↓ いま持っているお金は将来手にできるお金より運用機会がある分だけ価値が高い ↓ いま持っているお金と将来手にできるお金は価値が違う |
ですから、企業が将来稼ぐお金や投資案件の収益性を評価するときには、持っていたとしたら稼げたはずのお金も視野に入れる必要があります。
単に「1年後に10,000円稼げる」だけでなく10,000円を持っていたら稼げたお金(例えば1%の収益率なら100円)をコスト的に捉えておく必要があります。
つまり、管理会計の機会コストの発想です。
機会コストの簡単な例はこんな感じです。
なお、このあたりの内容は、このブログで数値例を付けて解説しています。
現在価値の考え方
1年後の収入10,000円を考えてみましょう。
1年後に10,000円となればいいわけですから、(運用収益率を1%とすると)いまは9,901円であればいいことになります(=10,000÷1.01)。
9,901円を1年間運用したら、1年後には10,000円(=9,901×1.01)になるからです。
この9,901円のことを現在価値といいます。
将来価値の考え方
いま9,901円持っているケースを考えてみましょう。
運用機会があるので、(運用収益率を1%とすると)1年後には10,000円(=9,901×101%)になっています。
つまり、9,901円の将来価値は10,000円ということです。
貨幣の時間的価値を計算する理由
理由は2つあります。
1つ目は、例えば1年後に手に入るお金(=いま手元にないお金)を視界に入れて、資産の価値だったり事業の価値を評価する考え方が主流になっていることです。
有名な評価手法としてDCF法(Discount cash flow)があります。
2つ目は、(価値が違うお金の)額面を足しても正しい評価ができないということです。
将来のお金と今のお金は価値が違うので、同じ価値に引き直した上で評価を考える必要があります。
具体的な金額でいうと、2年後の15,000円と3年後の17,000円の額面を足して、32,000円の価値がある資産という発想は実態を示していないということです。
貨幣の時間的価値と割引率の関係
例えば、年1%の運用益が期待できる状況で、1年後に10,100円が稼げるとします。
この場合、いまの価値(=現在価値)は10,000÷(100%+1%)で計算しますが、この1%のことを割引率といいます。
いまと1年後という時間に差があることで発生する運用利回りを計算する利率で、管理会計の機会コストの考え方が背景にあります。
つまり貨幣の時間的価値を計算するための利率が割引率という関係にあります。
今回の記事はここまでです。
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また、noteでもより実務的な内容を解説しますので、お楽しみに
最後までお読み頂きありがとうございました。