「繰越欠損金」と「繰延税金資産」は名前が似ていますが、違いは何でしょうか?両者の意味するところは全く違うので、違いを知っておくのは税効果会計の理解で欠かせません。今回は、「繰越欠損金と繰延税金資産の違い」を、わかりやすく簡単に解説します。
繰越欠損金と繰延税金資産の違い
【税効果会計をわかりやすく簡単に24🤔】
✅繰越欠損金と繰延税金資産の違いは?
✅繰越欠損金
→過去の損失
→「費用の親戚」なので将来の儲けからマイナスできる✅繰延税金資産
→税金の前払い
→将来の税金のマイナス見込✅違い
→繰欠は「儲けから」で繰産は「税金から」マイナス pic.twitter.com/VvzN7D5QwT— 内田正剛@会計をわかりやすく簡単に (@uchida016_ac) 2019年5月29日
繰越欠損金とは?
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— 内田正剛@会計をわかりやすく簡単に (@uchida016) October 16, 2020
正確な名称は「税務上の欠損金」といいます。
「過去の損失」で、将来の儲けからマイナスしてもらえます。
例えばある年度の儲けが△50万円だったとしましょう。
法人税では「あ、赤字だったのね」で終わりではなく、要件を満たしたら「将来の儲けからマイナスしてあげるよ」というルールも設けています。
細かい話を省略して仕組みを超簡単にいうと、来年の儲けが+100万円とすると、仮に今年の儲けが△50万円だったら、来年の儲けはネット計算して「50万円」を前提に税金計算してくれるのです。
これは、非常にお得な制度です。
なお、この記事ではすごくシンプルな世界を前提に解説していますが、繰越欠損金には細かいルールが色々あるので、そこは記憶の片隅に置いといて下さい。
税効果会計で見逃せない規定は以下の通りです。
繰越欠損金の税効果会計では、他の費用と違って注意点があります⚠️
繰り越せる期間に限度がある上に、全額すぐに使えるわけでもないです🙅♀️ 繰越欠損金の繰延税金資産は、他の差異より慎重に計算しましょう📝
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— 内田正剛@会計をわかりやすく簡単に (@uchida016) March 9, 2021
要するに、繰り越せる期限があるということと、使える金額に限度があるということです。
繰延税金資産とは?
繰延税金資産は、会計と法人税のズレが生じたときに発生します💡
例えば資産の評価損の否認🙅♂️とかで、会計は費用だけど法人税は一時的に損金じゃないとかです🔍 そうすると法人税が一時的に会計の想定よりも大きくなります🧐 これを税効果会計では「税金の前払い」と捉えて繰延税金資産と呼びます📝 pic.twitter.com/fuqUmgYKC5
— 内田正剛@会計をわかりやすく簡単に (@uchida016) January 25, 2021
法人税が会計よりも「費用を遅いタイミングで認めてくれる」ため、一旦税金を多めに払います。
繰延税金資産はこの「一旦多めに払った税金」のことなので、「税金の前払い」ともいわれます。
このような結果になるのは、税法の儲けを計算するときに、一旦費用を取り消されてしまうからです。
取り消されたと言っても、将来的には費用として認めてくれるので、単なるタイミングの違いです。
費用を取り消されてしまうと、儲けが(一時的に)会計よりも多く計算されてしまうので、税金が多くなってしまうのです。
逆に、税法が費用として認めてくれた時は、会計では費用とは扱わないので、「会計が計算した税金」よりも「税法が計算した税金」の方が少なくなります。
繰延税金資産はこの「一旦取り消される(=否認される)費用」に、税率をかけて計算します。
だから繰延税金資産は、「税金の前払い」といわれるのです。
詳しくは、以下の関連記事を覗いてみて下さい。
違いは?
ここまで読んでいただくと「両者は全く違う用語」ということがわかると思いますが、あえて違いをあげるとすれば「マイナスする対象」です。
繰越欠損金は「儲け」からマイナスしてくれるのですが、繰延税金資産は「税金」からマイナスするものです。
繰延税金資産は「税金の前払い」だからです。